「鋼構造物工事」という言葉を見て、「これ、なんて読むのが正解なんだろう?」と迷った経験はありませんか?
「こうこうぞうぶつこうじ」なのか、それとも「はがねこうぞうぶつこうじ」なのか…。 私も、建設業界に興味を持ち始めた頃、この読み方でちょっと自信が持てなかったんですよね。
特に建設業界の求人や許可について調べていると、必ず目にする言葉です。 読み方一つで恥をかくのも嫌ですし、そもそもどういう仕事なのか、ぼんやりとしか分かっていませんでした。
さらに調べてみると、似たような工事名である「とび・土工工事」との違いや、具体的な仕事内容、建設業の許可を取るにはどうしたらいいか、なんていう疑問も次々に出てくるかもしれません。 この辺の区別が、またややこしいんですよね。
この記事では、そんな「鋼構造物工事の読み方」をきっかけに、業界の基本的な知識から、この分野で働く上でのキャリアや年収といった将来性まで、私が調べたことを分かりやすくまとめてみます。 読み方がスッキリわかるだけでなく、この仕事の全体像が見えてくるかも。
- 鋼構造物工事の正しい読み方
- 似ている工事(とび・土工)との違い
- この仕事に必要な許可や資格
- 年収や将来性の目安
鋼構造物工事の読み方と業界の常識

まずは、この業界の「言葉」に関する基本的なところから見ていきましょう。 読み方一つで、その人が業界に詳しいかどうかが分かってしまうこともあるみたいですからね。 いわば、業界人かどうかの「リトマス試験紙」のようなものかもしれません。
正しい読みは「はがね」
結論から言うと、建設業界や法律(建設業法)上の正式な読み方は、「はがねこうぞうぶつこうじ」が正解だそうです。
私も最初は「こうこうぞうぶつこうじ」と音読みで読んでいたんですが、どうやら業界では「はがね」という訓読みがスタンダード。 なぜかというと、他の工事(例えば「構造物」がつく別の工事)と電話などで聞き間違えないように、あえて素材がはっきりわかる「はがね」という和語を使っている、という実務的な理由があるみたいですね。
建設業の許可申請や、役所とのやり取り、あるいはベテランの職人さんと話す時には、「はがね」と読むのが無難であり、信頼を得る第一歩とも言えそうです。 この読み方を知っていると、「お、この人ちょっと知ってるな」と思われるかもしれません。
「こう」と読むのは間違い?
辞書や一部の資料では「こうこうぞうぶつ」と音読みで載っていることもあるようです。 なので、日常生活で「こう」と読んだからといって、即座に間違いというわけではないみたいですね。
ただ、建設業の許可申請など、オフィシャルな場面では「はがね」と呼ぶのが確実かなと思います。 言葉は、使われるシーンによって最適なものが変わるということですね。
とび・土工工事との根本的な違い
次に混乱しやすいのが、「とび・土工工事」との違いです。
現場で鉄骨を組み上げている作業員の方々は「とび職」と呼ばれることが多いので、私も「鉄骨=とび」と単純に思っていました。 でも、建設業の「許可」という観点で見ると、これが全然違うんですね。
「とび・土工工事業」は、あくまで現場での作業が中心です。 例えば、足場の組立、機械器具や重量物の運搬・配置(据え付け)、鉄骨の組立「作業」そのものなどが含まれます。
一方で「鋼構造物工事業」は、もっと大きな括りで、「工作物」を「築造」するという視点に立っています。 具体的には、鉄骨工場(ファブリケーター)で鋼材を加工(切ったり溶接したり)し、それを現場に運び、組み立てる(エレクション)までの一連のプロセス全体を請け負う工事を指します。
許可と作業の「ねじれ」
ここが一番ややこしいポイントです。
- 現場の作業 : 高所で鉄骨を組むのは「とび職」の技術。
- 工事の請負契約 : 工場での加工を含め、鉄骨造の「工作物」を完成させる責任を負う契約は「鋼構造物工事」の許可が必要。
つまり、現場で作業するのが「とび」の方でも、その工事契約全体(加工+組立)を管理している会社は「鋼構造物工事」の許可が必要、というケースがあるみたいです。 ちょっと複雑ですけど、責任の範囲が違うんですね。
鉄筋工事はRC、鋼構造物はS造
もう一つ、似ているようで全く違うのが「鉄筋工事」です。 どちらも「鉄」を使うので混同しがちですが、役割が根本的に違います。
これは分かりやすい違いで、
- 鉄筋工事 : コンクリートの中に埋め込む「鉄筋(細い棒状の鋼材)」を網目状に組む仕事。 あくまで構造の主体はコンクリート(RC造:鉄筋コンクリート造)。鉄筋はコンクリートの「引張(ひっぱる力)」への弱さを補強する役割です。
- 鋼構造物工事 : H形鋼や鋼板といった「鋼材そのもの」が建物の骨組み(柱や梁)になる仕事(S造:鉄骨造)。 鋼材が圧縮にも引張にも耐え、構造全体を支えます。
使う材料の規格も、接合の方法(鉄筋は結束線、鋼構造物は高力ボルトや溶接)も、完成後の力学的な挙動も、根本的に別物なんだなと理解しました。 大規模な空間(体育館や工場)や高層ビルがS造で建てられるのは、鋼材の「軽くて強い」という特性のおかげなんですね。
仕事内容は橋梁からビル鉄骨まで
「鋼構造物」と一口に言っても、その範囲はめちゃくちゃ広いです。 私たちが普段目にする色々なものが含まれています。
まさに「社会の骨格」を作る仕事と言えますね。 以下に、主な仕事内容を分類してみました。
鋼構造物工事の主な例
- 土木系 : 橋(道路橋や鉄道橋)、ダムの水門、河川の門扉(閘門)、高速道路の巨大な標識柱など、公共インフラ
- 建築・産業系 : ビルや工場の鉄骨、スタジアムやドームの屋根、石油タンク、ガスタンク、プラント設備、送電鉄塔、屋外広告塔
こう見ると、本当に社会の骨格を支えている仕事なんだなと実感しますね。 同じ鋼構造物工事でも、橋を作るのとビルの鉄骨を組むのとでは、求められる技術や知識が少し違ってきそうです。
土木系工事の特徴
橋や水門などは、一度作ると50年、100年と使われる公共財産です。 そのため、求められる品質や耐久性の基準が非常に高く、溶接の品質管理や防錆(サビを防ぐ)技術などが極めて重要になります。 国の基準に沿った厳格な施工が求められる分野ですね。
建築・産業系工事の特徴
ビルや工場などは、民間企業からの発注が中心です。 こちらは工期(工事期間)の短縮やコスト効率も重視されます。 また、スタジアムの複雑な屋根のように、デザイン性の高い構造物を実現するための高度な加工・組立技術も求められるのが特徴かなと思います。
建築と土木での役割の違い
上の例でも出たように、鋼構造物工事は大きく「土木系」と「建築系」に分かれます。 キャリアを考える上でも、この違いは意識しておくと良いかもしれません。
| 項目 | 土木系(橋梁・水門など) | 建築系(ビル鉄骨・工場など) |
|---|---|---|
| 主な発注者 | 国、自治体、高速道路会社など(公共工事) | ゼネコン、デベロッパーなど(民間工事) |
| 求められるスキル | 高度な品質管理、防錆技術、発注者協議、膨大な書類作成能力 | 工程管理(他業種との調整)、コスト意識、ゼネコンとの折衝能力 |
| キャリアイメージ | インフラを支えるスペシャリスト、「インフラドクター」 | 大規模プロジェクトの調整役、工程管理のプロフェッショナル |
土木系は、やはり橋や水門といった公共工事がメインになることが多いようです。 発注者が国や自治体になるため、長期的なプロジェクトで、社会インフラを支える「インフラドクター」的な役割が強そうですね。
建築系は、高層ビルや物流倉庫、スタジアムなど、ゼネコン(総合建設業者)と連携して進める民間工事が主戦場になるみたいです。 こちらは、設備や内装といった他の工事との調整(工程管理)がすごく重要で、まるで複雑なパズルを解くような段取り力が求められるのかなと想像します。
鋼構造物工事の読み方とキャリアの道筋

読み方が分かったところで、次に気になるのは「この業界で働くってどうなの?」という部分ですよね。 許可のことから、お給料の話まで、もう少し踏み込んで調べてみました。 ここを知っておくと、単なる「読み方」の知識が、「キャリアの選択肢」に変わるかもしれません。
建設業許可に必要な要件とは
この工事を請け負う会社を立ち上げるには、「建設業許可」が必要になります。 鋼構造物工事は、扱うものの規模が大きく、万が一の時の社会的影響も計り知れないため、許可のハードルは結構高い部類に入るそうです。
許可をもらうには、主に3つの大きな要件があるみたいです。
建設業許可(一般)の主な要件
- 経営業務の管理責任者(経管): 会社の経営経験(役員など)が5年以上ある人が必要。 法人の役員や個人事業主としての経験ですね。
- 専任技術者 : 工事の技術的な品質を担保できる資格や実務経験を持つ人が必要(これは次で詳しく)。
- 財産的基礎 : 最低でも500万円以上の自己資本(または資金調達能力)があること。
特に3つ目の「財産」が重要で、これは単なる見せ金ではダメみたいです。 鋼構造物工事は、鋼材という高価な材料を先に仕入れる必要があり、材料費が数千万円になることも珍しくないとか。
そのため、500万円というのは「事業を継続的に回していける最低限の信用力」の証し。 実際にはもっと多くの運転資金(キャッシュ)がないと、事業を回していくのは大変みたいですね。
許可申請は慎重に
ここで挙げたのは、あくまで一般的な要件の概要です。 建設業許可の申請は非常に複雑で、自治体によっても細かなルールが異なる場合があります。
例えば「経営業務を補佐する経験」で認められるケースなど、特例も存在します。 本気で許可取得を考える際は、必ず行政書士などの専門家にご相談ください。
専任技術者と指定学科(機械工学)
許可要件の2つ目、「専任技術者」にも特徴がありました。 専任技術者になるには、国家資格(次の「施工管理技士」など)を持つか、10年以上の実務経験が必要です。
面白いなと思ったのが、実務経験の代わりに「指定学科」を卒業していると、必要な実務経験が短縮される(大学卒なら3年、高校卒なら5年)というルール。
普通、建設業というと「土木工学」や「建築学」をイメージしますよね。 もちろんそれらも指定学科なんですが、鋼構造物工事の場合は、なんと「機械工学」も指定学科に含まれているんです。
これは、鋼構造物工事が「現場」だけで完結しないことの証拠ですね。
- 土木・建築 : 構造力学の観点から、構造物全体の安定性を担保する。
- 機械工学 : 工場での金属加工、溶接技術、ボルトのトルク管理、非破壊検査など、製造業的な品質管理(QC)のアプローチを担保する。
このように、土木・建築と機械工学の知識が融合する領域だからこそ、「機械」のバックグラウンドを持つ人も活躍できるという、この工事ならではの特性だなと思いました。
施工管理技士の資格は必須か
もしこの業界でキャリアアップを目指すなら、やはり「施工管理技士」という国家資格が大きな武器になるようです。 専任技術者にもなれますし、現場の「主任技術者」や「監理技術者」としてプロジェクトを動かすためにも必要になります。
鋼構造物工事に関わる資格としては、主に2つのルートがあります。
- 1級土木施工管理技士 : 橋や水門など、主に「土木系」の現場で活躍する道。 公共工事が多いため、発注者(国や自治体)との折衝や書類作成のスキルが磨かれます。
- 1級建築施工管理技士 : ビルや倉庫など、主に「建築系」の現場で活躍する道。 ゼネコンや他業種との調整が日常茶飯事なので、コミュニケーション能力や工程管理能力が鍛えられます。
どちらの資格を取るかで、その後の専門性が変わってくるんですね。現場の代理人(現場監督)としてプロジェクト全体を管理できるようになるには、これらの1級資格が実質的に必須と言えそうです。
ちなみに、この資格試験、現場経験が豊富な人でも、理論や法規を問う「学科試験」で苦戦することがあるそうで…日々のOJT(現場での実務)だけでなく、座学での勉強も重要なんだなと感じます。
年収と将来性。経験が評価される
さて、一番気になるかもしれないお金の話です。 鉄骨工(鋼構造物工事の作業員)の方の平均年収は、あるデータによると430万円前後とされています。 (出典:厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』)
ただ、この数字はあくまで平均。 私が注目したのは、その内訳です。
20代の頃は260万円台でも、経験と資格を積んだ40代以降では600万円台になるというデータもありました。 これは、単なる肉体労働ではなく、「経験知」や「管理能力(資格)」がダイレクトに給与に反映される、技術職・専門職としての側面が強い業界だということかなと思います。
さらに将来性ですが、これはかなり明るい材料があるみたいです。 ご存知の通り、日本は「国土強靭化」や「インフラ老朽化対策」に国が大きく予算を投じています。
昔(高度経済成長期)に作られた大量の「鋼橋」や「水門」が、一斉に更新時期(築50年超)を迎えているんですね。 そのため、新しいものを作るだけでなく、「既存のものを直す・補強する」という「維持・補修」の仕事の需要が、2025年以降も急速に伸びているそうです。
これには、腐食した部材の交換や耐震補強など、新設とはまた違う高度な技術が求められます。
技術さえあれば、仕事がなくなる心配は少ない業界かもしれませんね。
年収データについて
ここでお話しした年収は、あくまで様々な統計データを基にした一例(目安)です。 実際の給与は、勤務する地域、会社の規模、保有資格(施工管理技士など)、そしてもちろん本人のスキルや経験(現場代理人ができるか等)によって大きく変動します。 あくまで参考程度にお考えください。
鋼構造物工事の読み方から未来を描く
「はがねこうぞうぶつこうじ」。
この読み方一つを調べることから始まりましたが、その背景には、法的な決まりごと、土木と建築と機械工学が融合する技術、そして日本のインフラを支える大きな経済の流れがあることが分かりました。
もしあなたが、私と同じようにこの言葉に興味を持ったなら、それは単なる知識を得ただけでなく、とても奥深く、将来性のあるプロフェッショナルの世界への入り口に立った、ということかもしれませんね。
この読み方を知ったことが、あなたのキャリアやビジネスにとって、何か新しい視点をもたらすきっかけになれば嬉しいです。
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