MENU

個人事業主の必要経費、割合の目安と注意点

こんにちは。個人で仕事をしていると、「経費」ってどこまでOKなんだろう?って、一度は悩みますよね。私も建設業やシロアリ駆除の現場の話なんかに関心があるんですが、皆さんどうやって経費を管理してるのかなって、ふと思うことがあります。

特に「個人事業主 必要経費 割合」といったキーワードで調べてみると、自分の経費率が平均と比べてどうなのか、急に気になってくるかなと思います。インターネットで見かける業種別の目安と比べて、自分の経費割合が高いと、「もしかして税務署から目をつけられて、税務調査が来るんじゃないか…」なんて、漠然とした不安を感じてしまったり。

経費にできるもの一覧はなんとなくわかっても、じゃあ「どこまで」が事業用として認められるのか、その具体的なライン引きが本当に難しいですよね。特に私のようなWebサイト運営やライティングなどのサービス業の方だと、経費率の平均が低いイメージがあって、「こんなに経費を使って大丈夫かな?」と、かえって計上をためらってしまうこともあるかもしれません。

それに、自宅兼事務所で仕事をしている場合の家事按分の計算方法や、プライベートと共用している車の経費、さらには取引先との接待交際費や食事代の扱いなど、具体的な処理で「これで合ってるのかな?」と手が止まってしまうことも多いんじゃないでしょうか。

この記事では、私自身が気になって調べた「個人事業主の必要経費と割合」について、税務調査で慌てないための基本的な考え方や、具体的な経費の扱い方で迷いやすいポイントを中心に、少し深掘りしてまとめてみました。これから確定申告を準備する方の、ちょっとした不安解消や「なるほど、こう考えればいいのか」というヒントになれば嬉しいです。

  • 業種別の経費割合の一般的な目安と、その数字の「本当の意味」
  • 経費率が高くても「説明可能」なら全く問題ない理由
  • 家事按分や接待交際費など、判断に迷いやすい経費の具体的な線引き
  • 税務調査で慌てないために「今すぐ」準備すべき必須の「証拠」管理とは

目次

個人事業主の必要経費、割合の目安

まずはやっぱり一番気になる「経費の割合」についてですね。自分の事業の経費率が、世間一般と比べてどうなのか、客観的な目安を知りたいというのは、個人事業主として当然の心理かなと思います。

ここでは、その「目安」となる数字と、それ以上に大切な「その数字に縛られすぎてはいけない」という、経費計上の本質について見ていきたいと思います。

経費にできるもの一覧

そもそも「何が経費になるの?」という基本ですが、これは本当に多岐にわたります。すごくシンプルに言えば、「事業の売上を生み出すため、または事業を運営・維持するために使ったお金」は、基本的に経費として認められる可能性があります。

代表的な勘定科目と、それに該当する経費の具体例を、ざっと一覧にしてみました。私も最初の頃は、「あ、こんなものまで経費にできるんだ」って気づきが結構ありました。

【テーブル】主要経費の勘定科目と具体例

勘定科目 具体的な経費の例
租税公課 個人事業税、固定資産税(事業用)、自動車税(事業用)、印紙税、登録免許税。事業運営に関連する税金ですね。
水道光熱費 事業所や自宅兼事務所(家事按分後)の電気代、ガス代、水道代、灯油代など。
旅費交通費 電車代、バス代、タクシー代、飛行機代、出張時の宿泊費、レンタカー代、駐車場代(事業利用時)など。
通信費 スマホ・固定電話料、Wi-Fi・インターネット料金、プロバイダ料、切手代、サーバー利用料、ドメイン取得料など。
接待交際費 取引先との会食代、お中元・お歳暮代、慶弔見舞金(ご祝儀、御香典)、手土産代など。
消耗品費 業務で使う文房具、プリンターのインク、10万円未満の備品(PC、デスク、椅子、カメラなど)の購入費用。
減価償却費 10万円以上のPC、車、建物、機材等の購入費用を、法律で定められた耐用年数に応じて分割して計上する費用。
地代家賃 事業用の事務所・店舗の家賃、礼金、管理費、駐車場代(月極)など。
外注工賃 外部の個人事業主や企業への業務発注費(デザイン、ライティング、プログラミング、建設外注など)。
給料賃金 従業員(家族以外)への給与、手当、賞与。家族への給与は「専従者給与」として別に扱います。
広告宣伝費 Web広告費(リスティング、SNS広告)、チラシ作成費、名刺作成費、ホームページ作成・維持費など。
新聞図書費 業務に必要な書籍、雑誌、新聞(電子版含む)、有料フォント購入費、有料デザインソフト代(Adobeなど)。
支払手数料 銀行振込手数料、税理士・弁護士報酬、代引き手数料など。
雑費 他のどの科目にも当てはまらない、少額かつ重要性の低い経費(例:ゴミ処理代、ごく少額の費用)。※多用は推奨されません。

もちろん、これはあくまで一例です。ご自身の事業内容によって、使う科目もその重要度もまったく変わってくるかなと思います。例えば建設業なら「外注工賃」や「消耗品費(工具など)」が大きくなるでしょうし、私のようなWeb運営なら「通信費」や「広告宣伝費」が中心になりますね。

経費はどこまで認められる?

「じゃあ、この一覧にあれば何でも経費にしていいの?」というと、残念ながら、話はそんなに単純ではありません。税務署が判断する基準は、勘定科目の「名前」ではなく、その支出の「実態」なんですね。

ある支出が、税法上の必要経費として認められるか否かは、以下の3つの基準を満たしているかどうかで総合的に判断される、と私は理解しています。

  1. 売上への直接的な関連性(売上原価)
    小売業の「仕入れ」や製造業の「原材料費」など、その支出がなければ売上が立たなかった、と直接的に紐づく費用です。
  2. 業務遂行上の関連性(販売費・一般管理費)
    事務所の家賃や通信費、広告費など、売上に直接は紐づかないけれど、事業を運営・維持するために「業務上」必要な費用です。
  3. 論理的な説明可能性(税務調査対策)
    そして、実務上これが一番重要だと感じているのが、この「説明できるか」という点です。

特に3つ目の「論理的な説明可能性」こそが、私たち個人事業主の経費計上の核心だと私は思います。

例えば、同じ「食事代」でも、取引先との新プロジェクトに関する商談であれば「接待交際費」として、業務遂行上の関連性を説明できます。しかし、同じ相手でも、ただの友人としてプライベートな近況報告をしただけなら、それは経費にはできません。

もし税務調査が入った時に、調査官から「この支出は何ですか?」と聞かれたとします。その時に、「この支出は、事業の売上を上げるために、これこれこういう理由で必要だったんです」と、領収書や請求書、契約書といった客観的な証拠(証憑)に基づいて、相手が納得できるように論理的に説明できるかどうかが、全てなんですね。

【注意】経費に「できない」ものの明確な境界線

個人事業主が特に陥りやすいのが、事業の経費と個人の家計支出(家事費)の混同です。以下の支出は、原則として必要経費には計上できません。

  • 事業主個人の税金:所得税や住民税は、事業の「結果」として得た所得(儲け)に対して課される個人の税金です。事業運営の「コスト」とは見なされないため、経費にはなりません。(※ただし、個人事業税や固定資産税(事業用)は「租税公課」として経費にできます)
  • 事業主本人の福利厚生:従業員(他人)のための健康診断費用や慰安旅行は「福利厚生費」として経費になりますが、事業主本人の健康診断費用や生命保険料、スポーツジム代などは、単なる家事費とみなされ、経費にはできません。税法上、「事業主」と「従業員」は明確に別人格として区別されます。
  • 事業主本人への給与:法人の「役員報酬」とは違い、個人事業主には「自分への給与」という概念が存在しません。売上から経費を差し引いた「所得」そのものが、事業主の取り分(給与のようなもの)となります。
  • プライベートな支出:友人との食事代、家族旅行、趣味の道具代など、事業と無関係な支出は一切経費にできません。

業種別の経費割合

さて、いよいよ本題の「経費割合」です。「みんな、だいたい売上の何%くらいを経費にしてるんだろう?」というのは、すごく気になりますよね。もちろん、これは事業の状況によって千差万別ですが、統計上の一般的な目安というものは存在するようです。

ただし、これらの数値は国税庁の統計などから導き出される、あくまでも「平均的な目安」であり、法的な拘束力は一切ない、という点に注意してください。

【テーブル】業種別・経費率の平均ベンチマーク(目安)

業種 経費率の目安 (参考)主な経費
卸売業 約 90% 商品の仕入れ(売上原価)が大部分
小売業 約 80% 商品の仕入れ(売上原価)、店舗家賃、人件費
製造業 約 70% 原材料費、外注費、工場維持費、減価償却費
飲食業 約 60% 食材費、店舗家賃、人件費、水道光熱費
サービス業 約 50% 人件費、外注費、地代家賃、広告宣伝費、通信費

(※あくまでも一般的な目安の数値であり、事業内容や規模によって大きく変動します)

この表を見ると、一目瞭然ですよね。卸売業や小売業が80%~90%と非常に高い経費率なのに対して、私のようなWeb運営も含まれる「サービス業」は50%程度と低くなっています。

「え、サービス業って半分も経費にしちゃいけないの!?」と焦る必要はありません。これは不正をしているとか、節税意識が低いとかいう話ではなく、単純に、次で説明する「ビジネスモデルの違い」から来ている必然的な結果なんですね。

経費率の目安はどれくらい?

先ほどの業種別経費率の表を見て、「あ、自分の業種はサービス業だから、目安は50%なのか。今60%だから使いすぎだ、減らさないと…」と思った方がいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

ここで絶対に勘違いしてはいけない、最も重要なことをお伝えします。

それは、この「目安」は、税法上の「ルール」では全くないということです。

税務署の法律(所得税法)のどこを探しても、「サービス業の経費率は50%以内でなければならない」とか「目安を超えたらペナルティ」なんてことは、一言も書かれていません。あくまで過去の統計から来る「だいたい、この業種はこのくらいの経費率になることが多いよね」という「傾向」や「結果」に過ぎないんですね。

昔は、税務署が「概算経費率」や「標準経費率」といった目安を重視して、それを超える経費を認めない、といった運用がされていた時代もあったようですが、現在ではそうした考え方は古いとされています。

現代の税務調査で何よりも重要なのは、最終的な割合(%)という「数字」ではなく、「その経費を計上した背景(=業務上の必要性)を、一つ一つの証拠をもって明確に説明できるか」という「中身」だけです。

極端な話、サービス業で経費率が80%になったとしても、その80%すべてが「売上を上げるために、あるいは事業を維持するために、客観的に見て必要だった」と論理的に証明できるのであれば、税務上は何も問題ない、ということですね。逆に、目安の50%以内であっても、その中にプライベートな支出が1円でも混じっていれば、それは否認されます。

サービス業の経費率と内訳

とはいえ、現実問題として、サービス業の経費率が他の業種と比べて低めに出るのには、はっきりとした理由があります。それは、ITフリーランスエンジニアやWebデザイナー、コンサルタント、ライターといった業種は、「仕入れ(売上原価)」がほとんど発生しないビジネスモデルだからですね。

例えば、私の場合もそうですが、主な経費は以下のようなものになります。

  • ITフリーランスエンジニアの場合:通信費(サーバー代、ドメイン代、AWSやGCPなどのクラウドサービス利用料)、新聞図書費(高額な技術書、有料Webサービス、オンラインサロン会費)、消耗品費(高性能PC、モニター)、外注費(自分の専門外の作業を他のフリーランスに依頼)など。
  • Webデザイナーの場合:新聞図書費(Adobe Creative Cloudなどのデザインソフト代、有料フォントの購入費、有料素材サイトの利用料)、消耗品費または減価償却費(高解像度モニター、ペンタブレット、高性能PC)、広告宣伝費(ポートフォリオサイトの維持費、Web広告)など。

このように、同じ「サービス業」という枠の中でも、何で売上を立てているかによって、経費の内訳(ポートフォリオ)は全然違ってきます。自分の売上に対して、これらの「活動維持費」がどれだけかかったか、という計算になるため、結果として「仕入れ」がある業種よりは経費率が低くなる傾向がある、というだけなんですね。

自分の経費の内訳が、同業者と比べて極端に(例えば、交際費だけが)不自然な割合になっていないか、という視点は持っておいてもいいかもしれません。

経費率の平均とビジネスモデル

経費率の平均が業種によって大きく異なるのは、シンプルに「ビジネスモデル」が違うから、という話をしました。この違いをもう少しだけ、専門用語を使って整理してみますね。

▼ 高経費率の業種(卸売業 90%, 小売業 80%)

これは、経費の大部分を「売上原価(仕入れ)」が占めるビジネスモデルです。80円で仕入れた商品を100円で売るなら、その時点で経費率は80%に達します。粗利益(=利ざや)は20%しかありません。そして、その残りの20%の中から、さらに家賃や人件費といった「販売費及び一般管理費(販管費)」を支払う必要があるわけです。

▼ 低経費率の業種(サービス業 50%)

こちらは、物理的な「売上原価(仕入れ)」がほぼゼロ、あるいは非常に少ないビジネスモデルです。言ってみれば「自分の技術・知識・時間」そのものが商品(仕入れ)ですね。売上の多くが「粗利益」となり、そこから事務所の家賃、広告宣伝費、通信費といった「販管費」を支払うため、結果として最終的な経費率は低くなる傾向があります。

自分の経費率が高いか低いかを、平均値とだけ比べて心配する前に、まずは自分の事業が「売上原価」中心のモデルなのか、「販管費」中心のモデルなのかを理解しておくことが、すごく大事かなと思います。


個人事業主の必要経費、割合と税務調査

経費率の「割合」自体に法的なルールはない、と何度も書いてきましたが、とはいえ「割合が高いと税務調査が来るんじゃないか」という不安は、やっぱり残りますよね。実際、その「割合」が、税務署が調査対象を選ぶときの「きっかけ(トリガー)」の一つになっている可能性は否定できません。

ここでは、その税務調査のリスクと、私たちが取るべき具体的な防御策、特に判断に迷うグレーゾーンの経費の扱いについて、さらに掘り下げてみます。

経費割合が高いと税務調査は来る?

税務署も、全国の個人事業主全員をチェックすることは物理的に不可能です。そのため、限られた人員で効率的に「申告漏れや不正がありそうな」ところをチェックしようとします。

その時に、全国の申告データを集約した「KSK(国税総合管理)システム」というもので、さまざまな角度から申告書を分析し、「異常値」を検出していると言われています。

税務署が注目する「レッドフラグ(危険信号)」

あくまで一般的に言われていることですが、以下のような状態は「異常値」として税務署の目に留まりやすい(=調査対象に選ばれやすい)かもしれません。

  • 同業他社との比較で経費率が「著しく」高い
    同じ業種・同じ地域・同じくらいの売上規模の平均値と比べて、利益率が極端に低い(=経費率が極端に高い)場合、「利益を意図的に圧縮(=経費の水増しや売上の除外)しているのでは?」と疑われるきっかけになります。
  • 特定の経費の「急増」
    税務署が一番警戒するのは「絶対値」よりも「変化(デルタ)」だと言われています。前年と比べて、売上はそんなに伸びていないのに、なぜか外注費や接待交際費、雑費だけが不自然にドンと2倍、3倍に増えていると、「これは中身を詳しく見る必要があるな」と判断される原因になります。「なぜ増えたのか」の明確なストーリーが説明できなければいけません。
  • 売上「900万円台」の壁
    これは経費率とは別の話ですが、税務署が非常に厳しく見ていると言われるポイントです。なぜなら、売上が1,000万円を超えると、その2年後(または翌年)から消費税の「課税事業者」となり、消費税の納税義務が発生するからです(出典:国税庁「No.6501 納税義務の免除」)。そのため、売上が数年間にわたり「980万円」「990万円」といった、1,000万円ギリギリで推移していると、「消費税逃れのために、意図的に売上の一部を除外(隠蔽)しているのではないか?」と、悪質な「脱税」を強く疑われることになります。

もし経費率が高くなってしまったとしても、あるいは経費が急増したとしても、それ自体が即「悪」なのではありません。重要なのは、その理由です。

一番の、そして唯一の防御策は、結局のところ「すべての支出の必要性を証明できる、正確な帳簿と証憑(しょうひょう)を、完璧に揃えておくこと」に尽きるんですね。

税務調査で通常、過去3年分(悪質性が疑われる場合は最大7年分)の帳簿(総勘定元帳など)や、領収書・請求書・契約書・預金通帳などの提示を求められると言われています。その時に、帳簿の数字と証憑がピッタリ一致し、「この経費は、この業務のために使いました」と堂々と説明できれば、何も恐れることはないはずです。

家事按分の計算と割合

在宅で仕事をしているフリーランスの方にとって、最大の悩みの一つであり、税務調査でも真っ先に論点になりやすいのが、この「家事按分(かじあんぶん)」じゃないでしょうか。

自宅の家賃、水道光熱費、通信費、車両費など、一つの支出に「事業用(経費)」と「プライベート用(家事費)」が混在している費用(これを「家事関連費」と呼びます)について、その事業用の割合だけを抜き出して、必要経費として計上する手続きのことですね。

この按分ですが、税法では「家賃は〇〇%にしなさい」という厳密なルールは決められていません。代わりに求められるのが、事業主が「合理的(論理的)」な基準を自分で設定し、その計算根拠を税務署にきちんと説明できること、です。

つまり、調査官に「なぜ、この割合(例:30%)なんですか?」と聞かれたときに、「なんとなくです」は絶対に通用せず、「私はこの基準で計算しました」と客観的な資料(賃貸契約書や間取り図など)を見せて説明できる必要があります。

1. 地代家賃

家賃の按分で最も「合理的」とされ、税務署にも説明しやすいのが「面積基準」かなと思います。

  • 基準1:面積(平方メートル)計算式: (事業用スペースの面積 ㎡) ÷ (自宅全体の面積 ㎡)例: 自宅全体が 40㎡ で、そのうち書斎として使っている仕事部屋が 10㎡ の場合。按分率: 10㎡ ÷ 40㎡ = 25%この場合、家賃が月20万円なら、20万円 × 25% = 5万円 を「地代家賃」として経費計上できます。賃貸借契約書(全体の面積)と間取り図(仕事部屋の面積)を見せれば、誰が見ても客観的で合理的ですよね。
  • 基準2:時間(業務時間) ※非推奨計算式: (1日の平均業務時間) ÷ (24時間)例: リビングの一部で1日平均10時間作業する場合、10時間 ÷ 24時間 ≒ 42% となります。一見、面積基準より多くの割合を計上できそうですが、私はこの基準はあまりお勧めしません。なぜなら、「本当に毎日10時間働いていた」という客観的な証拠(毎日記録したタイムシートなど)がない限り、税務調査で「業務時間は8時間ですよね?」とか「休日は作業してないですよね?」と突っ込まれたときに、証明するのが非常に困難だからです。

 2. 水道光熱費

電気代、ガス代、水道代も按分できます。これらは「事業用のコンセントだけメーターを分ける」なんてことは不可能なので、一般的には、家賃の按分率(面積比など)をそのまま適用するのが合理的とされています。

例: 上記の面積基準で按分率が 25% なら、その月の電気代・ガス代・水道代の合計額 × 25% を「水道光熱費」として計上します。

 3. 通信費

スマホ代や自宅のインターネット料金も按分対象です。これは「面積」ではなく、「使用実態」で計算するのが合理的ですね。とはいえ、スマホの通話履歴やデータ使用量を1件ずつ「これは事業用、これはプライベート用」と仕分けるのは現実的ではありません。

そのため実務上は、使用時間や日数で大まかに割合を決めることが多いかなと思います。

例: 「平日は1日8時間仕事で使うから、週5日×8時間=40時間。プライベートは…」と考えるより、「大体、半分くらいは仕事で使っているから 50%」とか「週7日のうち5日は仕事で使うから 5/7(約71%)」といった、自分なりの「説明できる」基準を決めて、それを継続して適用するのが落としどころかもしれません。

【神話?】白色申告の「50%ルール」は誤解?

昔、「白色申告は、家事関連費の事業使用割合が50%を超えないと、1円も経費にできない」という、いわゆる「50%ルール」が広く信じられていたようです。(所得税法施行令に「主たる部分が業務の遂行上必要」という記述があるため、だとか)

ですが、現在ではこの考え方は絶対的なものではありません。結論から言うと、白色申告であっても、事業使用割合が50%以下であっても(例えば25%でも)、上記の「合理的な基準(面積など)」に基づいて計算し、その根拠をしっかり説明できれば、その割合(25%)に応じた経費計上が認められる、というのが今の実態のようです。

大事なのは「50%」という数字の壁ではなく、あくまで「合理的な説明責任」が果たせるかどうか、なんですね。

車の経費と按分計算

プライベートでも仕事でも使う「車」も、家事按分の対象経費の大きな塊ですね。これも考え方は家賃や通信費と同じです。

対象となる経費は、ガソリン代、自動車税、自賠責保険料、任意保険料、車検代、修理代、高速代、駐車場代(月極・コインパーキング)、そして車両本体の購入費用(これは「減価償却費」として数年に分けて)など、車に関するほぼ全ての維持費です。

この場合の合理的な基準は、「面積」ではなく「使用実態」で計算するのが一般的です。その中でも、最も客観的で税務署にも説明しやすいのが「走行距離」基準かなと思います。

  • 基準:走行距離、または使用日数例: 年間の総走行距離が 10,000km で、そのうち取引先への訪問や現場への移動(私の関心分野で言えば、建設現場への視察や、シロアリ駆除の現場調査とか)で使った業務使用の走行距離が 4,000km だった場合。按分率: 4,000km ÷ 10,000km = 40%

この場合、その年にかかった上記の自動車関連経費の「40%」を、必要経費として計上できます。

この「走行距離」を証明するために、運転日報(業務日誌)をつけておくのが最強の防御策になりますね。「いつ、どこへ(取引先A社、B現場など)、何の目的で(商談、納品など)、何km走ったか」をメモしておくだけで、税務調査での客観的な証拠として、非常に強力なものになります。

接待交際費と食事代の注意点

これも本当に判断に迷う経費の代表格ですよね。「接待交際費」とは、文字通り、取引先との関係性を円滑にし、事業をスムーズに進めるための接待、供応、贈答などのための支出です。(例:取引先との会食、お中元・お歳暮、ご祝儀や御香典など)

この接待交際費について、「個人事業主は、法人と違って経費計上の上限がないから使い放題」と誤解されている方が、たまにいらっしゃいますが、これは非常に危険な、大きな間違いです。

【危険】個人事業主の「上限なし」の罠

法人の場合、「資本金1億円以下の中小企業は、接待交際費は年間800万円まで」といった、経費(損金)にできる上限額が法律(法人税法)で明確に設定されています。

対して、個人事業主(所得税法)には、この「年間〇〇万円まで」といった、機械的な上限キャップ(枠)が法律上ない、というだけなんです。

「いくら使っても経費になる」という意味では絶対にありません。大前提である「業務上の必要性」と、何より「売上とのバランス」は、法人以上に厳しく問われます。常識的に考えて、例えば年間の売上が100万円しかない事業者が、接待交際費を300万円計上していたら、「それは事業のためではなく、あなたのプライベートな飲食費ですよね」と100%否認されると思って間違いないです。

経費として認めてもらうためには、領収書の裏や、会計ソフトの備考欄に、「いつ、誰と(相手の会社名・氏名)、何人で、何の目的で(例:新規契約の商談、〇〇プロジェクトの打合せ)」を必ずメモしておく習慣が、絶対に必要です。これがないと、単なる友人との私的な飲食と区別がつかず、「これは経費じゃありませんね」と否認されるリスクが非常に高くなります。

ちなみに、最近の税制改正で、法人の「1人あたり1万円以下の飲食費は(交際費ではなく)会議費として処理できる」というルールが話題になりましたが、これはあくまで法人税法の話です。個人事業主(所得税法)には、この「1人1万円ルール」は適用されません

個人事業主は、金額が1人5,000円だろうと1万円だろうと関係なく、その実態が「接待」であれば「接待交際費」、「会議」であれば「会議費」として、実態で判断する必要があります。この情報を混同しないよう、注意が必要ですね。

個人事業主の必要経費と割合の最適解

ここまで、個人事業主の必要経費と割合について、目安や税務調査との関係、具体的な按分方法などを見てきました。

いろいろと細かく見てきましたが、結論としては、「業種別の平均割合」という数字にビクビクしたり、それに無理やり合わせようとしたりするのではなく、「自分の事業に必要な支出は、証拠に基づいて堂々と経費計上する」のが王道であり、唯一の正解かなと思います。

その上で、私たちが「合法的に」節税効果を最大化するための「最適解」として、やはり「青色申告」の制度をフル活用することは外せないと感じます。

青色申告(あおいろしんこく)には、白色申告にはない、とてつもなく大きな節税メリットがたくさん用意されています。

最大のメリットは、なんといっても「青色申告特別控除」ですね。複式簿記で記帳し、e-Tax(電子申告)で申告を行う、といった一定の要件を満たすことで、売上から経費を引いた「所得」から、さらに「経費とは別枠で」最大65万円(または55万円)を無条件に差し引くことができます。これは本当に大きいです。

もし、青色申告について「そもそも何?」とか「65万円控除の具体的な条件って何?」と気になった方は、以前まとめた記事も、よろしければ参考にしてみてください。

(内部リンク: 青色申告65万円控除の条件は?e-Tax必須?

他にも、30万円未満の備品(PCやカメラなど)を購入した年に一括で経費にできる「少額減価償却資産の特例」(年間合計300万円まで)や、赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越せる特例、家族への給与を経費にできる「青色事業専従者給与」など、白色申告と比べて圧倒的に有利な制度が整っています。

最終的に、私たち個人事業主が「経費率」を最適化し、税務調査にも慌てないための防御策は、以下の2点に集約されるかなと思います。

経費と割合の最適解(まとめ)

  1. 平均割合に振り回されず、「事業に必要」かつ「論理的に説明できる」経費を、証拠(領収書+メモ)と共に漏れなく計上する。
  2. 日々の記帳は「青色申告(65万円控除)」の要件を満たすように行い、その強力な節税メリットを最大限に活用する。

この記事は、私自身が調べた時点(2025年11月現在)での情報に基づいています。税法や制度は毎年変わる可能性がありますし、個々の具体的な事例(「これは経費になりますか?」)については、最終的な判断が非常に難しいケースも多々あります。

実際の経費計上や確定申告にあたっては、必ず国税庁の公式サイト(タックスアンサーなど)で最新の情報を確認するか、税務署、または税理士などの専門家にご相談ください。

最終的な判断は、ご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。

経費の管理や記帳は、正直に言って本当に手間がかかりますが、それに見合うだけの大きなメリットが(特に青色申告には)あると思います。私も頑張って続けていきたいですね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次